バブル期が終わり、その数年後には度々労働問題がクローズアップされるようになり、現在では各企業はコンプライアンスを独自に制定して営業を行っていることは目立ちます。
ところが現在でも労働問題は発生しており、時にはニュース番組で採用される他、裁判に至った際には企業名も公表されています。

残業代の支払い義務について

最も多い問題の内容は、本来であれば週に40時間の勤務と決められており、業種による違いはあるものの、範囲を超えた部分については残業代の支払い義務が生じます。
更に時間外労働分においては時給換算で1.25倍での支払いと決められているので、時給が2,000円という方であれば、1時間につき2,500円の支払い義務が発生します。
この部分を企業によっては労働者に対して全く支払っていない企業がある他、支払っていても分刻みでの計算を怠っている場合、予め月の残業代を給料に含めている条件を呈して、正しく計算されない事例も少なくはありません。
残業、若しくは時間外労働分に対して1円も支払っていない企業は問題外ですが、予め残業代を支払っている企業でも実態はかなり不足をしている場合も見られます。

超過分は別途正しい計算式で未払い賃金を支払わないといけない

例えば月に20時間の残業を目安にして手当てを支払っている企業でも、実態は30時間を超える残業が恒例となっている場合では、20時間を超えている部分に対しては、別途正しい計算式で未払い賃金を支払わないとなりません。
各企業では独自に会社の規定を定めていることが多く、その中の項目をチェックすると、月の残業時間は20時間まで、その分を手当てで支給しこれを持って一切の請求をしないなどとする項目があったとしても、この規定においては入社時に確認をしていても法的には無効な条件として処分されます。
労働者に対して著しく不利な条件、労働法や労働基準法に抵触するような内容は、例えサインをしたとしても無条件で無効となるので、コンプライアンスを徹底していると宣言している企業でも違法行為とみなされます。

労働の対価としての給料に対しての知識を持つ方は増加傾向にある

最近では労働者側が残業時間の多さ、労働の対価としての給料に対しての知識を持つ方は増加傾向にあり、未払い賃金が発生している企業に勤務をしている方の中には、集団で企業に対して訴訟を起こすことも珍しくはありません。
この労働問題は簡単に済ませられる場合とそうではない場合に分けることができ、簡単に処理できる企業は社員数が少なく、残業時間もそうは多くはないという事例です。

以前は残業代の請求に関しては、過去2年までと限定されてきた背景がありますが、現在では条件はあるものの過去5年分まで請求することが可能となったために、大きな企業で社員数も多く、尚且つ時間外度労働が多いという条件下では、該当社員1名で100万円の請求を認められた場合、同様の権利を持つ社員が50名という場合では5千万円もの支払い義務が企業側に発生します。労働問題とは?よくある種類や事例、解決策を弁護士が解説

労働問題については常に正しい対応を行うこと

潤沢な資産を有する企業であれば、支払ったとしても会社運営はそのまま行えることは多いのですが、中小企業の場合は集団訴訟により全額を支払うことになった場合は、会社の運営を圧迫してしまい資産が枯渇してしまう可能性も出てしまうので、労働問題については常に正しい対応を行うことは絶対的に必要ではないでしょうか。
そもそもコンプライアンスにおいては、自社内ではなく他社や顧客となる方々に向けて発信するものですが、それ以前に労働者に対する働かせについても法律を遵守することは当然です。
逆に労働者側は少しでも勤務先の企業に対し、お金の問題やハラスメント系の問題を感じた際には、証拠を残しておくことは自分を防御するために最低限必要です。
例えば残業時間については、実際には9時からの就業時間と決めておきながら、実態は8時から会議や朝礼を行っている場合、この時点で1時間分は時間外労働に含まれます。

ハラスメント系の問題を抱えている労働者の場合

この証拠を残すには、タイムカードを使っている企業であればスマートホンで毎月の締め日前に撮影をしておく方法、若しくは手帳などに日付と勤務時間の詳細を記しておくことは効果的です。
ハラスメント系の問題を抱えている労働者の場合は、スマートホンの機能を利用して音声録音を行う他、ICレコーダーをスーツの内ポケットなどのに入れておく方法で決定的な証拠は保全できます。
厚生労働省の発表で、月の時間外労働が60時間以上であれば、労働者に何らかの悪影響を及ぼす目安とする内容がありますが、実際に睡眠障害やうつ病を発症させてしまう社員が続出していることも事実なので、企業側はストレスチェックを定期的に利用するだけではなく、長時間残業においては直ぐに改善させないと、後に裁判により多額の慰謝料が課せられる可能性も十分にあります。
労働者側も仕事で精神が不安定になった際には、直ぐにでも心療内科を受診することは推奨でき、過労死を未然に防ぐことは欠かせません。

まとめ

病院に通うということは、実際に仕事で受けた被害の証拠を残すことができるので、臆することなく行動をとることで最悪の事例を回避できるのではないでしょうか。

最終更新日 2025年6月10日